「野良マッチ」でイライラしないための考え方

 
 

1v1ゲームとの違い

 
チーム vs チームの対戦ゲームにおける「ソロキュー」
いわゆる野良マッチは、多くのプレイヤーにとってストレスが多いものだ。
 
というのも、1v1の対戦ゲームにおける敗北とは
自分の責任においてのみ生じるものであって、
少なくとも「次回はこうしよう」という行動に繋げられるものである。
一時的にはそれがストレスであっても、
自己の成長へと昇華出来る可能性が十分にある。
 
一方、チーム戦の場合
「味方が上手く動いてくれなかった」という、見て見ぬ振りをするには
少し厳しすぎる位に大きな、新たな敗北の理由が追加されてしまう。
これが1v1ゲームとの大きな違いだ。
 
よく聞く「味方のせいにしているうちは上手くならない」
という説教については後ほど説明する。
 

なぜチーム戦の敗北がストレスフルなのか

 
味方が上手に動いてくれない等の「自分にはどうしようもない部分」による敗北
これがストレスの正体である。
 
アドラー心理学という有名な考え方において「課題の分離」というものがある。
簡単に説明すると「自分の出来る範囲の事だけをやろう(考えよう)」というもので
逆に言えば「自分がどうにも出来ない部分については考えるだけ無駄だからやめろ」
という話だ。それだけでストンと納得出来れば苦労しないのだが…
 
野良マッチでは毎回味方になるプレイヤーも違うし、
敵側にだけ異様に練度が高いプレイヤーが集まってしまったりというような
偏ったシチュエーションが多々ある。
 
そんな風に「自分がどうしようも出来ない部分」が多すぎるため、
課題の分離がうまく出来ずにイライラが募ってしまうのだ。
 
しかしこんなイライラを(ある程度)吹き飛ばせる考え方がある。
 

「麻雀」というゲーム

 
麻雀というゲームがある。
麻雀に自信がある人は、読み飛ばしてしまっても構わない。
 
麻雀というゲームのルールをよく知らない人のために説明すると、
ランダムで配られた13枚の牌(手札)をもとに、
順番に1枚ずつ取って捨ててを繰り返し、牌を入れ替えたりして、
すべての牌が配り終わるまでに、14枚で決まった形を揃えるゲームだ。
基本は4人対戦で、一番早く完成させた人は他のプレイヤーから点数を奪える。
何度か繰り返し、最終的に一番点数を持っていた人の勝ち。
 
基本はそんなところで、もう少し深い話をすると
麻雀はいくら上手になっても必ずランダム要素が絡むゲームである。
運が悪い時は全然揃わないし、逆に運さえ良ければ、初心者でも勝てる時がある。
 
しかし、プロと初心者の打ち方では決定的に違うポイントが存在する。
それは振り込み(放銃)と、それに伴う攻防である。(用語は後ほど説明する)
 
麻雀は先に言った通り、点数を取り合うゲームだ。
 
完成形(手、または役と呼ばれる)を作ったとき、
最後の牌を自力で引いた場合は「ツモ」
他プレイヤーの捨てた牌を拾って完成させた得た場合は「ロン」
と言う上がり方になり、それぞれ点数の計算方法が変わる。
 
ツモは、上がった人がそれ以外のプレイヤーから分散して点数をもらう。
ロンは、当たり牌を捨ててしまったプレイヤー1人から点数を満額もらう。
 
麻雀でプレイする上でポイントになるのはこの「ロン」である。
「他人の当たり牌を捨ててしまう(ロンされてしまう)」行為を放銃と呼ぶのだが、
麻雀の勝敗を決めるのは「いかに放銃をしないか」という部分がかなり大きい。
 
「今回は引きが悪いから、とても完成形までは持っていけそうにない」と思った瞬間に「降りる」つまり、その回は手札の完成を諦めて、他の人へ放銃しないように(ロンされないように)当たらなそうな牌を捨てるというテクニックがとても重要なのである。
 
麻雀のプロは「勝てる時」と「降りる時」を鋭く見極め、
それに応じた戦いが出来るように日々訓練している。
そうでないと、とてもプロの勝率を保っていられないのだ。
 

他プレイヤーは麻雀の「配牌」

 
ようやく話が戻せる。
麻雀におけるランダムな要素が「配牌(配られる手札)」であるのに対し
野良マッチにおけるランダム要素とは
「自分以外のプレイヤーの、練度のばらつき」である。
 
つまり麻雀のプロが「毎回上がれるわけではないので、配牌が悪い時は諦めよう」
と考えているのと同じように、我々が野良マッチをする際は
「毎回勝てるわけがないので(味方を見てダメそうなら)今回は諦めよう」と
スパッと気持ちを切り替えなければいけないのだ。
 
毎回勝てるわけではない、という事をまず理解しなければいけない。
絶対に勝てない試合がある。それも、たぶん分くらいがそう
 
麻雀では点数を守るために降りる選択をするが、
野良マッチでは自分のメンタルを守るために気持ちを切り替える。
 
このチームは無理だな、と思ったら、いつも麻雀でそうしているように
「配牌(配られた手札)が悪かったんだな」と思うだけでいい。
 
配牌の悪さにキレ散らかす麻雀のプロは存在しないし、
たとえアマチュアでも「どうにもならない事」に憤るのは無駄ではないだろうか?
 

その上で、鍛えるべきスキルとは

 
ともかく「自分のどうにか出来る範囲」を越えて嘆かない事。
どうにか出来る範囲だけ、どうにかすれば良い。
それ以外の事は、たまたま運が悪かっただけなのだから
何も考えずに流してしまうのが良い。
 
それでは、ここで我々が麻雀のプロに学ぶ部分はどこであろうか。
 
恐らくそれは「勝てる戦いかどうかを見極める」スキルではないかと思う。
 
「勝てる時に頑張る」のが正解であるから、
頑張りどころを間違えないために、勝てるかどうかを見定める力が必要になる。
 
勝てる戦を捨ててしまっては元も子もないし、
負け戦を中途半端に頑張ってしまっても、メンタルの効率は悪い。
 
「この戦いは果たして”自分次第”なのかどうか?」
ゲーム毎にこう自問し、自分なりにまず答えを出してみる事で
よりストレス無くゲームを楽しめるようになるのではないだろうかと思う。
 
 

まとめ

  • 誰がプレイしても野良マッチは「毎回勝てない」ように出来ている
  • 野良マッチにおける他プレイヤーは麻雀で言うところの「手牌」である
  • 勝てない回は「配られた手札が悪かった」と思って気持ちを切り替える
  • その分、勝てるかどうかの見極めには細心の注意を払うこと
 
 
 

おまけ1:勝率をアップさせる方法

 
さて、ここまで「どうやっても勝てない試合があって、
それはお前のせいじゃない場合もある」と説明してきた。
 
しかし結局のところ、勝率には
「自分のプレイ」そのものがしっかり響くようになっている。
これは完全確率のギャンブルでも無い限り、全てのゲームがそうなのだ。
 
なぜかと言うと、誰しも一時的にはランダムな要素に翻弄されるものの
最終的に掴める「チャンスの量」は同じであるため、
あとはそれをいかに掴めるか、という差でしかないのだ。
 
チャンスの量が同じ、というのはどういう事なのか?
 
 
この言葉を理解するためには、
まず前提として説明しておかなければいけないルールがある。それは
 
「いくらランダムな要素が絡んでも、
回数を重ねていけばランダムな部分の確率は収束していくから」である。
 
何を言っているかわからない人のためにもう少し詳しく書く。
 
例として、麻雀の話に戻る。
「良い牌(手札)が来る」「悪い牌が来る」確率というのは、
毎回のゲームでは必ず偏りが生じる。
「今回は運が良くてすぐに揃った」「今回は運が悪くて全然揃わなかった」
というような話である。
 
しかしこれが、ゲームの回数をどんどん重ねていくにつれ、
誰しもが同じ条件、確率に収束していくのだ。
 
例えば4~5回のゲームをこなした程度では、
まだまだ、良いも悪いもどちらかに偏る可能性がある。
しかしこれを100回、200回と繰り返すことで
「手札の良かった確率」「悪かった確率」は全員、同等の確率に落ち着いていく。
 
これはスピリチュアルな話ではなく、それが確率というものなのだ。
6面ダイスを何度も振り続けるとダイスの各面が出る確率は16.6666666...%
に向かって収束していく、という話はご存知だろう。
 
これをゲームに置き換えると、
4~5回試合をして「味方が弱い(または強い)事が多い」と思っても、
100回、200回と繰り返すことでそれは「誰もが同じ条件」に収束していく。
 
チャンスの量が同じ、というのはそういった理由だ。
 
 
よく、チーム戦のゲームの上達法を啓蒙するのに
「味方のせいにしているうちは勝てない」という言葉が使われるが、
これは、半分間違っていて、半分合っている。
 
つまり、勝てない試合の全部が全部「お前のせいじゃない」場合もあるし、
もちろん「お前のせいの場合」もあるという事だ。
 
敗因を正しく分析出来るように努力すること。
そして自分が出来る範囲の事はしっかりと行うこと。
 
自分と他人、どちらを贔屓しても上達からは遠のいてしまう。
 
なので私は、ここに新しい啓蒙を掲げようと思う。
 
 
 
「自分の手の届く範囲だけをしっかりやる事。
 
その上で、勝った負けたは運でしか無い。
 
でもね、本当にしっかり出来ているなら、
 
まず勝率5割を切るはずが!!無いよね!?ハム太郎!!!」
 
 
そうなのだ!!!!!まったくそうなのだ!!!!!!
 
 

おまけ2:チーム戦のゲームは上達が難しい

 
毎回のゲームに「ランダム要素」があり一種の偏りが生じるという事実、
これは初心者プレイヤーにとっては上達の大きな壁となる。
 
というのも、自分が一貫して同じプレイをしていても、
マッチしたプレイヤーによっては勝ったり負けたり、違った結果が出てしまうためだ。
 
果たして今回負けたのは自分のせいなのか? はたまた味方のせいなのか。
初心者だとなおさら判断基準が定まらないし、まずわからない。
 
チーム戦のゲームを本当に効率よく上達したいのであれば、
ひとりで遊んでいるのはかなり非効率という事になる。
 
今では幸い、ゲームを問わずDiscordなど
参加しやすいコミュニティが多数存在しているので、
もし上達したいという気持ちがあれば、
一緒にプレイしてくれる先輩プレイヤーを探しに行くのも
手段の一つであると覚えておいて欲しい。
 
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それでは、長くはなりましたが
読んでくれた方が多少なりとも「そうかも」と思って頂けたのであれば
それほど嬉しいことはありません。
 
最後に、この記事に書いてある事では全く歯が立たない
チーム戦ゲームの2大「悪の巨塔」についても触れておきます。
 
マッチメイキングの確率収束理論をいとも簡単に破壊する「スマーフ
そして拭いた便所紙を見せつける特殊性癖持ちによる「暴言」
 
これらへの考え方について良いアイディアがある方は
Twitter ID : @kaoru_san
までご一報頂ければまた、練って記事にしようかと思います。
ご投稿お待ちしております。お疲れさまでした。